浦島太郎が玉手箱開けた 【その後】を知りたいと思うひと、手を挙げて~!

浦島太郎が玉手箱開けた
【その後】を知りたいと思うひと、手を挙げて~!


浦島太郎のお話はご存じですよね?

<あらすじ>

【浦島太郎はいじめられていた亀を助け、お礼にと竜宮城に連れて行かれた。乙姫様との日々を楽しんでいた太郎だが、数日後、帰ることを決める。乙姫様は「決して開けてはいけない」と伝えながら玉手箱を渡し、太郎を帰す。しかし、太郎が帰ってきた地上は、竜宮城と時間の流れが異なり何百年も経っていた。ショックを受けた太郎は玉手箱を開く。すると白い煙が出てきて、おじいさんになってしまった。】

各地に色んな説やお話が残っていますが、誰でも聞いたことのある大まかな流れは、大体このようなものでしょう。


結末が不条理すぎて困惑しちゃう人や
納得いかない人も多いのでは!?

私たちの知る『浦島太郎』は、「まさか親切心がこんなことを招くとは……マジか……」と言ってしまいたくなる不条理モノ。もしかすると、助けられた亀は芸人のように“いじられてナンボ精神”を持っていて、すごく楽しんでいたのに浦島太郎に邪魔され、怒ったのか?……なんてことまで勘ぐっちゃいます。では、どういう結末なら納得できたんでしょう。納得できる結末を求めて~! いざ、出陣!!!


諸説はさまざまなれど
一番近いカタチに納まったのは『御伽草子』!?

類似する話はたくさん見られますが、一応、私たちが知る話のようになったのは鎌倉時代から江戸時代において成立した『御伽草子』が元になっているのではないかと言われています。それ以前から、『日本書紀』や『万葉集』などにも「浦の島子」として「浦島太郎」の原形とみられる話はありますが、どうやら竜宮へ行ったり、玉手箱をもらったりしたのが、『御伽草子』からみたいなんです。


浦島太郎が玉手箱開けた後日談が
あるって本当!?

ズバリ本当です! 『御伽草子』では不条理な結末を迎えることはなく、「なるほど~」と思う締めくくりになっています。


『御伽草子』にある浦島太郎

<あらすじ>

【ある日、浦島太郎が大きな亀を釣り上げる。が、優しい浦島は「鶴は千年、亀は万年というくらい、亀は長生きするんだから、こんなところで命を落とさせるのも忍びない」と亀を海に帰すのだった。次の日、浦島は美女がひとり小船に乗って彷徨っているのを発見する。声をかけると、泣きつかれたので、しぶしぶ送っていくことに。10日ほどかけて送っていくと、美女の故郷だという竜宮城に到着。そこで、美女と結婚して、三年ほどあっという間に経ってしまう。しかし、置いてきた両親の安否が気になりだした浦島は、故郷に一回戻ると言い出す。「一回故郷に戻って、すぐに帰ってくるから」と伝えても、美女は大げさなほど悲しみ、止めようとするのだった。それでも、気が変わらない浦島に折れた美女は「自分は助けられた亀だった」と伝え、玉手箱を渡す。その上で、「玉手箱は手放さないように。しかし、決して開けてはいけません」と言いながら、浦島を送り出した。
でも、浦島が故郷に帰ると、700年もの月日が経ってた。絶望した浦島は、自暴自棄になったのか、玉手箱を開ける。すると、中から紫色の煙が出てきて、鶴に変わってしまった。これは浦島が寿命で死なないようにとの亀の計らいだった。その後、鶴になった浦島は蓬莱山に飛んで行き、末永く暮らしたのだという。】


浦島太郎を助けるために亀が取り計らっているあたりは、納得できます。その後、人間の姿では生きられなくなっても、鶴になり人生をまっとうできたわけですから。私たちの知る流れよりも、筋が通っているように思えます。


【玉手箱のなんで?】
“開けるなキケン”の玉手箱を渡したのは
意地悪でもトラップでもない!?

「なんで開けられない土産を渡すの?」とこれまでは疑問でしたが、『御伽草子』を読み解くと、なんとなく意味が通りはじめます。

私たちが知る浦島太郎のお話では白い煙ですが、『御伽草子』では紫色の煙が立ち上って、鶴に変化するんですね。これは、どちらにも浦島太郎の齢が入っていたという解釈で大丈夫でしょう。

齢を入れた玉手箱は、浦島太郎の魂のようなものを入れて封印していたわけで、そのおかげで700年の年月を人間の姿として過ごせたのです。だから、その魂(齢)を入れた箱から離れられないのではないでしょうか?

つまり、名作アニメと名高いまどかマギカの魔法少女たちが、魂の入ったソウルジェムを手放すことができないのと同じようなものなんて思うのですが、いかがでしょう。それならば、「開けるなキケン!」の箱を恩人に持たせたとしても、納得できます。ついでにこの他の例もみてみましょう。


浦島太郎
中国の類似物語

浦島太郎の原形かもと言われるお話が、中国のお話にもあります。洞庭湖周辺に伝わる『龍女説話』です。

<あらすじ>

【小船に乗る女が洞庭湖に落ち、ひとりの男が助ける。すると、女が人間の姿では泳げなかったが、自分は湖に住む竜女だと伝える。「お礼に」と竜宮城に男を連れて行き、夫婦になった。しかし、しばらくして男は置いてきた母親に会いに帰ると言い出す。女は帰ったらここには戻れないと引き止める。それでも帰ると言う男に「私に会いたくなったら、この箱に向かって私の名前を呼んでください。ただ、箱は開けちゃいけません」と伝えながら、玉手箱を渡す。男が故郷に帰ると、故郷は様変わりしていた。自分の母親も死んでいると知り、動転した男はついうっかり箱を開けてしまう。すると、白い煙が立ち上り、老人になり死んでしまった。】


ここでも、やはり箱の中には齢が入っていました。そして、白い煙で老人になる部分はまさに浦島太郎と同じですね。ただこの話のほうが、玉手箱を渡した意味がわかりやすくなっています。こちらでは、連絡を取る手段として竜女は玉手箱を渡したとありますから、読者は「通信手段をうっかり間違えた男が亡くなってしまった」というような印象を持つのではないでしょうか。だから、どちらかというとこのお話では、上記のような魂の箱という意味合いは薄いかもしれません。


女はしたたかに!
言わないでいいことは言わないもの

亀女も竜女も、秘密をちゃんと隠して誘惑していたようです。すごく冷静なのか、相手のことを考えるより気持ちが先走ったのかはわかりませんが……。女性を甘く見ちゃいけませんね。浦島太郎は魅力的な女性が現れたとき、人生をかけるほどの恋とは思わなかったのではないでしょうか。だとすると、やっぱり浦島太郎はしっぺ返しをちょっとされちゃったのかもしれません。実は浦島太郎、子どもの読み物というより、男女の深~い恋物語、情念物語として読むほうが正解なんじゃないでしょうか!?




文/来栖田まり

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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